ニューヨークで一組のカップルが結婚式を挙げた。だが2人は今日が初対面だった。園芸家のブロンティは安くて温室のあるアパートに住みたかったが、そのアパートは単身者では入居できなかった。一方、フランスからやってきたアーティストのジョージは、長期滞在の外国人永住権(グリーン・カード)を得るためにアメリカ人の妻が必要だった。
お互いの利害が一致した2人は書類だけの結婚(偽装結婚)をし、望みのものを手に入れた。ところがある日、入国管理局の調査員が偽装結婚でないかをチェックするために家を訪れるという。根掘り葉掘り質問する調査員を何とか誤魔化したものの、ひと月後の本格的な調査の面接に備える必要があった。お互いの趣味や生い立ちを暗記し、屋上でバカンスのニセ写真を撮ったりするうちに2人は惹かれ合っていった。
入国管理局の2人への面接は打ち合わせ通り進んでいたが、ジョージがある質問で間違ってしまい、とっさに暗記できなかったことを呟いてしまう。しかたなく偽造結婚を打ち明けるが、ブロンティに罪はないと伝える。
偽装結婚が発覚してアメリカから強制退去させられるジョージに、ブロンティは愛の告白をするのであった。
(上記、wikipediaからあらすじを引用。一部修正)
お互いの思惑があり、偽装結婚をしてまで望みのアパートメントに住みたい、とする設定は理解できるのだが、ブロンティが偽装結婚をしてまで「植物」に固執する理由はなぜか、が理解できなかった(もちろん、映画タイトルのグリーンカードと温室を意味するグリーンハウスのかけ言葉を狙った面もあるだろう)。
自然豊かな土地で生まれ育って、仕事のために都会に出てきたのだったら、コンクリートばかりの都会に緑を恋しく思う気持ちはわかる。仕事のために、おいそれと田舎に引っ越すこともできず、日々の癒しのために小さな植物園を作るための温室付きアパートに絶対に住みたいのだったら・・・。
しかし、ブロンティも親姉妹ももともとがニューヨークの生まれ育ちのようで、自然豊かな田舎を恋しがって植物を愛しているわけではないようだ。加えて、ブロンティやブロンティの恋人が、ビルの取り壊し跡を園芸公園に作り替える環境回復グループ『グリーンズ』のメンバーであることから、恋人から都会の緑地化や菜食主義の思想を洗脳された、とする考え方もできる。
今も昔も、セレブや資産家が環境保護活動や慈善事業、菜食主義を熱心につとめるイメージが私にはあるが、彼女の仕事について具体的な描写が作中になかったことから、彼女も一種の経済優位層で、恋人に自然保護活動の思想を吹きこまれながら、おもちゃを欲しがる子供のように温室付きアパートメントを欲しがり、「かわいそうな」フランス人移民を助けてやろうと、一種の慈善事業のつもりで偽装結婚に踏み切ったのかもしれないキャラクター、と読むこともできる。
ジョージもまた、観光ビザでアメリカに入国し、しれっと偽装結婚をしてまでグリーンカードを取得しようとするふてぶてしさが気になるキャラクターだが、ほぼ単一民族の日本と違って移民大国のアメリカでは、こういった不法または不法スレスレの移民をも取り込んで、経済成長していった歴史があり、よくあることなのだろう。
作品全体は、恋愛物語によくあるパターンで、正反対の性格、生い立ちのものがお互いの足りない部分を補うように惹かれ合っていく、というもので、ブロンティが経済優位層ならば、ジョージはスラム出身で、子供の頃から万引きや自動車窃盗もやっていたワルの時期があり、彼の両腕には自らの生い立ちを刻み込むかのように、いくつかのタトゥーが彫られている。
金持ちと貧乏人が出会って、恋愛が成就されるまでのある種のシンデレラストーリーを内包している悲喜劇ドラマである。